秋の虫がなきかわしていた

週末。

家の近くの大学のチャンパスに立ち寄った。
住宅棟をぬけて、芝生の運動場にさしかかるあたりには、虫の音が木々の間をこだましている。

もう晩秋だというのに、初秋のような勢いである。
あめあがりで少し暖かいという条件も手伝ったのであろうか。

とにかく盛大になきかわしているという感じで、予期せぬ大合唱にしばし聞き入った。
夕方、6時前というのに、あたりにはすっかりとばりがおり、遠くチャペルのあかりが見え隠れしている。

人気のないキャンパスに、どこまでも染み込むような響きがいつまでも続いていた。