ノミネート

週末なので、少し脱線する。

2年ほど前にプロデュースしたデジタルの作品が、あるTV局の国際番組アウォードにノミネートされた。
そんなことから、セッショントラックでプレゼンテーションすることになった。

大学をでて社会人1年生として通った局なので、いつも以上に緊張するし、まだ少しお見えになる先輩も、ほっておいてくれるのが一番ありがたいのだが、かわるがわるに連絡をくれるので、よけいにそれが募るばかりだ。
大先輩にとっては、ぼくはいつまでたっても「小僧」なのだ。(いまでも、修行中の小僧には違いがないのだが)

先日も、その打合せでぼくの技術の故郷ともいえる局舎にでかけてきた。
坂を昇ったところに建つその佇まいは、あまり変わっていない

その頃は、家に帰れなかった。いや、帰らなかったというほうが正しい。
毎日のようにそれまでのアナログ技術がデジタルに置き換わっていく。それが自らの手の中を通過していくのだから面白くて仕方がない。
マニュアルは全部英語だったし、CPUやメモリの技術的制約は、いまの百倍くらいあったと思うし、性能は千分の一くらいだったと思う。関連ソフトやライブラリも全部手作りだ。

このときつくった編集機は、現在もよくみるデジタル編集機のいわば原型だ。編集点や効果をコンピュータに記録し、精密に編集する。完成後、大型時代劇の制作での試用を経て本格運用となった。
いまは昔のお話だ。

ちなみに、局の受付を通って最初にいったところは、メイン会場ではなく先輩がはたらく部署だった。
いくつになっても、先輩はたててなんぼのところがある。