春の小川

少し経済のきき迫る話題が続いてしまったので、少し穏やかなにいこうと思う。

先日、ひょんなことから、大学の先生たちと、渋谷(NHK下)、御茶ノ水駿河台)、西銀座と移動しながら飲んだり食べたりという時間が持てた。
というと、聞こえがよいが、ぼくはただただご馳走になり、たいへん恐縮した。

渋谷 NHK下は、文字通り坂になっているが、その近くの私鉄の沿線にそって、かつて河骨川(こうぼねがわ)という川が流れていたらしい。いまは、暗渠(あんきょ)となってふたが覆っているその川こそが、唱歌で歌われる「春の小川」だという。

作詞は長野が生んだ文学者 高野辰之氏、作曲は岡野貞一氏。、いまでいうヒットメーカーコンビだ。この二人は、このほか、故郷(ふるさと)、紅葉(もみじ)、おぼろ月夜、春が来たなどの名作をいくつも生み出し、いまもなお、歌いつがれている。

高野氏の原作の詩は、次のようになっていて、現在の歌われるものと少し異なっている。

  春の小川はさらさら流る。
  岸のすみれやれんげの花に、
  にほひめでたく、色うつくしく
  咲けよ咲けよと、ささやく如く。

原作のほうが、ずっと惹かれるものがあるが、小学校の子どもが歌うものとして、わかりやすく変更されたのだろうと想像がつく。