養老孟司氏の著書より

 このようなくだりがある。
 『大学の一般教室で、400人ぐらいの授業に行って、じつのところ仰天した。ものすごくおしゃべりが多い。<中略>さらによく観察してみると、後ろのほうには紅茶の缶を机の上に置いているものもいる。<中略>「ああ、なるほどな。あいつら、俺のことをテレビだと思っているんだな」。私は、次の年の授業の最初の時間に、この話をすることに決めました。それで、「俺はテレビだからな」といったところ、静かになりました。』
 
 講演の舞台監督として、仕事をご一緒させていただいたことがあるが、この台詞のあとに、ニヤリとされた養老先生のお顔が目に浮かぶ。

 言われた学生諸君も、さぞかしゾクリとしたに違いない。