新人テレビマン渡世

 W杯サッカーがドイツで開幕した。

 この興奮を生放送で伝えるためには、中継技術が必要だ。
 最近では、SNG(サテライトニュースギャザリング)車で乗りつけて、ボタンを押せばOK!といきたいところだが、そうではない。
 やはり、ケーブルを引いたり、コネクタで結んだりという部分は変わらない。

 この作業の多くは、新人テレビマンの仕事だ。
 いくつものメディアが集まる国際中継の現場は、いつもちょっとした混乱状態になる。
 テストが終わって、いざ本番となったとき、映像が乱れたり、音声が出ないなどのトラブルがしょっちゅう起こる。

 局のサブ(副調整室)からは「どうしたんだ!」という罵声がわざわざ衛星回線で飛び込む。現場のチーフはおかんむり。このとばっちりは、一手に新人諸君が引き受けることになる。

 ことが収まってよくみると、抜けるハズのないコネクタがはずれていたり、切れるハズがないケーブルが断になっていたり。こういう奇々怪々な事件が起こったり起こらなかったり。

 中継には魔物が存在するのは、ITの世となった今も昔もかわらない。
 日本チームの最初の試合は、オフィスのデスクのPCで、ロケフリでみているような気がする。