7人の五十嵐さん
大学の文学部の講義では、放送業界をテーマに、原作とTVドラマを比較してその違いを考察する。時には、三谷幸喜さんの脚本と石原隆さんの演出の違いを考えることもある。
あるとき、「ヒーローの石原さんは、このシーンで・・・」と始めたら、前の方の女子学生グループがクスクス笑っている。続いて、「ブスの瞳の重松さんのねらいは・・・」。
ここで、先のグループが大爆笑。どうしてここで笑うのか。にわかには理解できなかった。ン------? しばし考えると、わかった。なるほどおかしい。
だが、こんな呼び方は業界では当たり前で、スタッフルームに電話して、「富豪の深沢さん」とか、「7人の五十嵐さん」とか伝えれば、相手方も事務的なリアクションで、「はい、少々お待ちください」と、受け答えは淡々と進行する。
ギョーカイでは、TV局やプロダクションへの電話などで、番組名を縮めていう習慣がある。前出の短縮形を正式に表現するとこうだ。
「HERO」の石原さん
「ブスの瞳に恋してる」の重松さん
「富豪刑事デラックス」の深沢さん
「7人の女弁護士」の五十嵐さん
それにしても、ドラマのタイトルは極めて律儀で礼儀正しい(?)命名だ。
これに比べて(特に少し前の)、バラエティや歌番組はかなり思い切ったタイトルになることが多い。
上記と同じ使い方をしてみよう。
ひょうきんの○○さん 「俺たちひょうきん族」
新婚の□□さん 「新婚さんいらっしゃい」
おしゃれの△△さん 「オシャレ30・30」
びんびんの☆☆さん 「歌謡びんびんハウス」
皆さん、想像してみてください。
ひょうきんの○○さんが超堅物、新婚の□□さんが未婚者、おしゃれの△△さんの無精ひげ、びんびんの☆☆さんは・・・。
おっとっと。おあとがよろしいようで。