知り合いのエンジニアのお話

 最近はじまったあるTVドラマ。なかなかに人気があるようだ。
 そのドラマのオンエアが終わったころ、友人のエンジニアからメールがきた。

 ドラマのことなので、大人気ない話なのだがとの、ことわりに続いて、
 「ぼくたちが、精魂こめて整備している機器を空中に放り上げているシーンがあった。
  現場とぼくたちは、お互いに阿吽の呼吸で仕事をしていて、お互いを尊敬している。
  ほんとうのプロなら、そんなことはしない。人の命を預かる現場というものは、
  そういうものだ。」とある。

 彼は、おなじ内容を番組の「視聴者の声」ページにインターネットを使って投稿したというので、そのメッセージを探すべくWebページをひらいてみた。
 そこには、「美辞麗句」ばかりが羅刹されていて、TVドラマをよりリアリティの薄い存在へと加速している効果を増幅している。

 もちろん、彼のメッセージは掲載されていないし、これからも掲載されないだろう。