おとなという生きもの
ぼくたちは、子どもの頃、おとなになったらほしいものが手に入ると思っていた。
子どもにとっては高価な飛行機のラジコンも、大きな鉄道模型も、そしてホールケーキを独り占めすることも。
でも、おとなになるにつれて、この夢の多くは実現できないことがわかってくる。
だけど、夢はひとつ、またひとつと忘れていくから心配がいらない。
しかし、人生はそればかりではない。
おとなを長くやっていると、子どもの頃より、さらに大きなものを手に入れたくなるものなのだ。
だから人は、いくつになっても少年や少女の頃のことを思い出せるようにできている。