コーンと静寂に響く音

 支点で支えた竹筒の一端に流水がたまるとその重みで竹筒が下がり、水が流れ出ると反転する。そのとき、もう一方の端が石などを叩いて高い音をたてる日本庭園などを演出する舞台装置が「ししおどし」。

 このいったん「ためる」というところがいい。
 大学からオーダーされたエッセイを書かなければいけないとき、たいていは朝の仕事になる。
 早く起きて、顔を洗ったりトイレにいったりしながら、コンピュータの専門雑誌を横目でながめて構想を練って、まだまとまらなければ熱いシャワーを浴びて準備を整えて、机に向かった瞬間から書きはじめる。

 だいたいは、これでなんとか〆切に間に合う。あくまでも、だいたいである。
 ししおどしのように、水を竹筒にためて、ためて、ためて、一杯になって先端が下がって、コーンという感じでいつもうまくいくとは限らないところが辛い。